米国でのフランチャイズ契約期間中におけるザーの行為の規制」

2000/6/10東京協議会学習会資料より


(1)近隣への同系列新規出店の規制

iIowaFC法6条(Encroachment)(92年制定、95年改正)

1.「ザーが、既存のジ一と同一のマークで同一の商品又はサービスを販売する新店舗を設置したり、又は別のジーにそれを開発する権限を与えた場合、当該新店舗により既存ジーの売上に悪影響が生ずる場合には、次の@〜Cのいずれかに該当しない限り、被害を受けた既存ジーは3項に従って計算された損害賠償を請求する権利を有する。」

  1. ザーが、新店舗を、他の者と同じ条件で影響を受ける既存ジ一に最初 に与えることを申し出た場合
  2. 新店舗により既存ジーが被った年間売上の減少分が5%未満の場合
  3. 被害を受ける既存ジーがザーの適格基準に照らし新店舗を得る資格がない場合(ただし、この場合は、Cの手続による補償請求は可)
  4. 開店前に、ザーが既存ジーの逸失利益に対して適切な補償をするための正式の手続(パネル手続・公平な第三者による調停又は仲裁-AAAの仲裁手続のうちからジーが1つ選択)を設置している場合

2.「ザーはジ一に新設する店舗の適格があるかどぅかを判断できる基準を予め開示しなければならない」

3.「補償の対象となる売上に由来する逸失利益の額を立証する責任は、ジーの側にある。支払われる損害賠償は、証明された逸失利益の3年分を越えない額に限られる。『補償の対象となる売上』とは、新店舗開店前の既存店の1年間の売上から、その5%を除き、さらに開店後の既存店舗の1年間の売上を除いた額をいう」 (立法趣旨-ジー:が地域で形成した独自の暖簾に対する期待の保護)

ii誠実かつ公正な取扱の黙示の義務による救済

  1. Scheckv.Burger KingCorp.756F.Supp.543(S.D.Fla.1991) (契約上は排他的テリトリーを保証しない旨を明示。2マイル離れた所に同系列の新規加盟店を新設。排他的テリトリーの否定は、原告への 影響に関係なく、近接する他のフランチャイズを任意に開く全く別の 権利をザーに与えたことを意味しないとして、誠実かつ公正な取扱の黙示の義務違反が成立しうると判示。和解金400万ドルを支払う) 注)Burger King v.Weaver,169F.3d1310(11thCir.1999)により、Scheck判決の見解はフロリダ州法上は実質的に否定された。
  2. In reVylene Enterprises,Inc.90F. 3d1472(9th Cir.1996). (契約上は排他的テリトリーの規定はなし。契約の更新をめぐる紛争の直後に、ザーが1。4マイル離れた所に新メニューでクーポンを配布する直営店を新設。被告による1マイル半離れた所での直営店の新設は、誠実かつ公正な取扱の黙示の義務に違反したと判示。221万9468ドルの賠償を命じた破産裁判所の判断を原則的に支持)

(2)ザーの承認が要る事項の不当な承認拒絶に対する規制

i州FC 関係法によるFC譲渡の承認拒絶規制

Wich.FC投資法: ジ一によるFCの譲渡をザーが正当な理由なく承認拒絶することを許す条項は無効(27条(g)項)

D.C.FC法: ザーはFCの譲受人がザーの要求する合理的資格に該当しない者でない限り、譲渡を承認しなければならない(5条)

N.J.FC行為法: ジーからFC譲渡の意思を譲受人の氏名、住所、財産、事業経験を記載した文書により通知する。ザーは60日以内に、書面で譲渡を承認するか、又は譲受人に関する実質的な拒否 理由を示した書面で譲渡を拒絶する旨を通知。60日以内に返答しなければ譲渡を承認したものとみなされる(6条)

A誠実かつ公正な取扱の黙示の義務による救済

  1. Laresev.CreamlandDairies,Inc.767F.2d716(10thCir.1985) (契約上はジーのFC譲渡にはザーの事前の承認が必要。ザーが事前の 承認を拒絶。ザーの取引先選択の自由は、ジーの権利とバランスさせ なければならないとし、ザーが不合理に承認を拒絶することはザーの誠実かつ公正な取扱の義務に違反すると判示)
  2. Dunfeev.Baskin-Robbins,Inc.720P.2d1148(Mont.1986) (契約上は店舗場所の移転にはザーの承認が必要。駐車場の歩道化により売上が激減した店の移転承認をジーが求めたのに対し、ザーは15年の地主との賃貸契約のために移転は不可能だと誤った見解を述べ、承認を拒絶。不合理な承認拒絶であり、誠実かつ公正な取扱の義務に違反すると判示。23万ドルの損害賠償+30万ドルの懲罰賠償)

(3)商品の購入義務に対する規制

i 州Fc 関係法による規制

HawaiiFC投資法: ザーがジ一に自己又は自己の指定した供給元から商品又は役務を購入するよう要求することは、そのような制限的合意が事業上の理由により正当化することのできる適法な目 的のために合理的に必要でない限り、禁止される(5条)

FC行為法: FC契約において商品、供給品、役務をザー又はザーが指定した供給元から排他的に購入することを義務づける条項は、比較しうる品質の商品等が他の供給元から購入しうる 場合には、違法である(2.7-1(1))

Wash.FI保護法: ザーはジーに対し商品又は役務を公正かつ妥当な価格を超える価格で販売又は賃貸してはならない(180(2)(d))

  1. Nelsonv National Fund Raising Consultants,842P.2d473(Wash.1992)(ピザ作りをして募金を行うサービスのザーが、ジ一に対して材料を自己から仕入れることを契約で義務づけ、ザーは供給元から仕入れたピザに20%のマークアップを上乗せして、ジ一に販売。マークアップはロイヤリティーの趣旨だったとする抗弁に対し、これを認めるとフィーの事前開示を要求した法の趣旨に反し、ザーの脱法を許すことにもなるから、マークアップ上乗せ販売は、禁止された公正かつ妥当な価格を超える価格での販売であると判示。差止及び損害賠償)

(4) ジーの販売価格拘束に対する規制

i反トラスト法による規制

  1. Mailand v Burkle,143Ca1.Rptr.1(Ca1.1978)
    (乳製品とガソリンを販売するドライブインのR) FCにおいて、ザーがジ一にガソリンの供給元を指定し、指定供給元からはりべートを徴収。ジーにはガソリン売上の7%を利益として保証する代わりに、ザーはジーのガソリン販売価格を指定。カ州法上、価格協定は、垂直的でも水平的でもすべて当然違法であるとし、ジ-の利益保証があっても、結局は指定供給元からのりべートでジーから利益を吸い上げる仕組みである以上、価格協定を正当化できないと判示。ジーからの違反条項の無効化を求める請求を認容)
  2. Benderv.SouthlandCorp.,749F.2d1205(6thCir.1984)
    (CVSのFC契約において、ザーが商品の推奨販売価格を変更した時には、変更前の価格にしているジーに対し、ザーに書面で報告する義務を課す条項。垂直的価格協定は、下の段階の取引者が自己の好きな価格で販売する自由を制限するが故に違法であるとし、ザーがジーの価格裁量を抑制する意図で報告義務を課したとすれば、強制であって1条違反になるから、差止を認める余地があると判示)

(5) ジーの団結に対する妨害の規制

i州FC 関係法による規制

I11.FC開示法:いかなる事業者団体でも、ジ-がそれに参加することを何らかの方法で制限することは、違反である(17条)

IowaFC法 :ザーは、ジーが他のジーと団体を作ることや事業者団体に参加することを制限してはならない。また、そのような行動を理由にジ一に対して報復してはならない(9条)

Neb.FC行為法:ザーがジーの間で自由に団体を構成する権利を直接又は間接 に禁止することは、違反である(6条(2))

参考ー加のアルバータFC法8条1項:IowaFC法とほば同じ

A誠実かつ公正な取扱の義務による救済

参考判例 Dunk inDonuts of Americav.Minerva,956F.2d1566(11th Cir.1992)

(ザーが更新の条件として全ジーに提示したテレビでの共同広告の提案を拒否したジーに対して、ザーが契約では開示されていない少量の調査から全体を推計する監査を行い、売上の過小報告があったとして、契約違反を理由に即時解約。監査の実施は、ジーがザーの提案を拒否したことに実質的に動機づけられたものであり、監査の方法も契約で開示された 方法ではなく、意図的な売上の過小報告もなかったことを理由に、ザーは誠実かつ公正な取扱の義務に違反したと判示。名目的賠償のみ認める)

B団体形成の実態

系列団体

  • NMDA (Midas MufflerShop)→NMDA v.U.S.,440 U.S.472(1979)
  • AKFCF (Kentucky Fried Chicken) -AFAの団体会員
  • NCASEF(7-Eleven)-AFAの団体会員

横断的団体

  • AFA (American Franchisee Association)(1993-)

    目的-フランチャイズの事業状況の改善とジーの経済的利益の保護 活動-連邦・州への立法の働きかけ、提携弁護士の無料紹介、会員へのFC動向の速報、団体契約、ジーのためのセミナー等

参考文献

  • 小塚荘一郎「フランチャイズ契約論(1)-(4)未完」法学協会雑誌112巻9号1177 頁、113巻4号563頁、113巻11号1591頁、114巻9号985頁
  • 若林亜理砂「フランチャイズの抱き合わせに関する反トラスト法の規制について」上智法学論集樋轟353頁(1999)
  • 高田淳「特約店契約およびフランチャイズ契約の特徴とその解消にっいて(1)(2)未完」 法学新報105巻3号37頁、105巻4-5号125頁(1999)
  • 力丸祥子「フランチャイズ契約締結以前におけるフランチャイザーの情報提供義務」法 学新報102巻9号1頁(1996)

2000/6/10東京協議会学習会にての配布資料より


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